山行記録2009/4 甲武信岳 (こぶしがたけ)
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【日程】 2009年4月18日(土)
【天気】 快晴(^^)
【メンバー】 単独
【概要】 「駐車場−滑滝−断念地点−滑滝−駐車場」
標高2,157m、歩行距離11.6km、標高差695m、累積標高差+746m−746m
川上村役場付近から見た冠雪した八ヶ岳
【場所】
山梨県(甲州)・埼玉県(武州)・長野県(信州)境にある甲武信岳。
奥秩父山塊に属し、金峰山までの縦走路も用意されている。
そのアプローチは、主に甲州側と信州側に分けられる。
【ルート】
甲州側の西沢渓谷からのルートもメジャーだが、ガイドブックに載っていた、北側の信州からのグルリップルートを選択。
コースタイム9:25、距離16.2kmとハードなルートで、一泊二日のコースとして紹介されている。
それを、あわよくば日帰りしようという、大胆不敵な目論見であった。
まぁ、いざとなれば、グルリップを取りやめ、ピストンすればいいわけだし、最悪飛び込みで小屋泊という手もある。
と楽観的な計画を立てたのが、そもそもリスクを高めていた。
後述するが、実際は実線のルートをピストンということになった。(鎖線の部分は未踏である)
※この地図は、国土地理院測量結果「数値地図12500(地図画像・・・Web閲覧サービス゛「ウォッちず12500」)」「数値地図50mメッシュ(標高)」をもとに、KASHMIR 3Dを用いて作成したもの。
以下、本文中に掲載のカシバード画像も同様。休憩地点は、白四角(チェーンの着脱と、最終到達地点)だ。
【所要時間】
場所 |
駐車場 |
分岐 |
チェーン 装着 |
滑滝 |
1.8km |
1.45km |
0.9km |
0.35km |
最終 到達点 |
0.9km |
1.45km |
滑滝 |
チェーン 取り外し |
分岐 |
駐車場 |
計 |
標高(m) |
1,462 |
1,466 |
1,689 |
1,794 |
1,814 |
1,868 |
2,076 |
2,133 |
2,157 |
2,076 |
1,868 |
1,794 |
1,679 |
1,466 |
1,462 |
695 |
区間距離(km) |
0.3 |
2.6 |
0.7 |
0.2 |
0.4 |
0.4 |
0.6 |
0.2 |
0.7 |
1.4 |
0.5 |
0.8 |
2.6 |
0.3 |
11.6 |
|
累計距離(km) |
0.3 |
3.0 |
3.7 |
3.8 |
4.2 |
4.6 |
5.1 |
5.3 |
6.0 |
7.4 |
7.9 |
8.7 |
11.3 |
11.6 |
||
着時刻 |
6:40 |
7:04 |
8:06 |
8:41 |
8:55 |
9:22 |
10:03 |
11:02 |
11:10 |
12:17 |
12:53 |
13:34 |
14:05 |
15:12 |
15:18 |
8:20 |
発時刻 |
6:58 |
7:04 |
8:12 |
8:41 |
8:55 |
9:22 |
10:03 |
11:02 |
11:38 |
12:17 |
12:53 |
13:34 |
14:21 |
15:12 |
15:31 |
|
区間タイム |
0:06 |
1:02 |
0:29 |
0:14 |
0:27 |
0:41 |
0:59 |
0:08 |
0:39 |
0:36 |
0:41 |
0:31 |
0:51 |
0:06 |
7:30 |
|
区間タイム小計 |
1:37 |
2:29 |
1:56 |
1:28 |
7:30 |
|||||||||||
所要時間累計 |
0:06 |
1:08 |
1:37 |
1:51 |
2:18 |
2:59 |
3:58 |
4:06 |
4:45 |
5:21 |
6:02 |
6:33 |
7:24 |
7:30 |
7:30 |
|
標準タイム |
1:40 |
0:50 |
1:00 |
1:30 |
5:00 |
|||||||||||
標準タイム累計 |
1:40 |
2:30 |
3:30 |
5:00 |
5:00 |
|||||||||||
歩行速度(km/h) |
3.3 |
2.6 |
1.5 |
0.8 |
0.8 |
0.6 |
0.6 |
1.2 |
1.1 |
2.3 |
0.8 |
1.5 |
3.0 |
3.3 |
1.5 |
・標準タイムはガイドブックのものを採用。最終到達点は、標準タイムが不明のため、ちょっと先の千曲川源流までのタイムをベースに推定。
・前半は快調なペースだったが、雪の踏み抜きが出始めた辺りから、急減速。単なるつぼ足以上に、腐った雪に苦戦した。
・標準タイムの3倍もかかっている。
・下図を見ても、このコースの傾斜は大したことがないことがわかる。急登になる前の敗退であった。
・休憩は時刻を緑字で表記。大休止は太字。
【はじめに】
先週、三ッ峠山に行ったところであるが、距離・標高ともにちょっと物足りなかったのは否めない。
もちろん、景色は堪能したので満足度は高かったのであるが・・・。
そういうわけで、天気も良さそうだったので、二週続けての山行を企画した。
かねてから行きたかった日本百名山No.67甲武信岳に狙いを定め、準備を開始。
標高が2,500m級なので、例年であればかなりの残雪があるところだが、今年は暖冬だったので大丈夫とたかをくくった。
(現に奥多摩の山々の積雪は、2,000mないとはいえ、3月時点で皆無である)
それが大きな間違いだったのであるが、この時点では知るよしもない。
さて、前述の通り、今回はかなりのハードコースである。
それを日帰りしようというのだから、気持ちの上では雪のことなんか考えずに、日帰り可能かどうかに集中しての検討となった。
ポイントは、やはり早出である。
時間の余裕があれば、当然成功の確率は高くなる。
遅くとも、7時に登山開始すれば、休憩込みで10時間かかっても、17時には下山可能だ。
まだ明るい時間というのがポイントだ。
逆算して、3時起床で計画した。
今回は気合いを入れて起きるぞ!!!
更に、最悪のことを想定し、山頂到着時刻により、二つのオプションを考えた。
1.楽なルートから登り、時間がかかったら、グルリップをやめて、ピストンに切り替える。これにより、西谷を遡るルートに決定。
2.更に遅ければ、山頂近くにある甲武信山荘に泊まり、翌日グルリップを完遂させる。
これで充分なはずだったのだ。
雪さえ腐っていなければ・・・。
しかし、「たら」「れば」が通用するほど、自然は甘くなかった。
想定した「最悪」以上だったのだ。
これは結果論だが・・・。
それでも、念のため、軽アイゼンではなく、シューズチェーンを持参することにした。
(っていうか、この季節、常時ザックに入っており、標高の低い三ッ峠にも持って行った)
さて、寝る直前にガイドブックを見ていると、小屋の営業期間が4月下旬からとなっているのに気が付いた。
4/18が下旬に当たるのか微妙である。
もしかして、営業していないかも。
しかし、今となっては確認するすべもない。
何はともあれ、準備をして、1時頃就寝した。
【これより本題】
予定通り、3:00起床。
身支度を調え、朝食を食べて、3:30頃には出発できた。
当然、高速は順調に流れ、約50分(新記録)で国立を通過し、まだ暗いうちに八王子を通過できた。
そのまま一気に進み、境川PAで休憩。
ネットのシミュレーションと異なり、NAVIは長坂ICで中央道を下りるよう指示していたが、予定通り、須玉ICで出る。
今回初めて、高速1,000円料金の恩恵にあずかることになった。
R141を清里方面に向かうと、イタチや大きな鹿が交通事故で死んでいた。
合掌。
NAVIのCFカード用コネクタのピンが曲がってしまったので、ルート設定は手動である。
目指す毛木平は、NAVIの地図ではわからなかった。
下図を見ながらの適当な設定である。
どこで曲がるか、イマイチ不安を抱えながら進む。
JR小海線の野辺山駅(最高地点の駅)付近で右折し、農道のような道を進む。
その途中(下図の川上村と書かれた辺り)で見たのが、冒頭に掲載した、素晴らしい八ヶ岳の姿だった。
実はこれが結果的に今回のハイライトとなってしまった。
まだ、登ってないっちゅーの(^^;
毛木平の駐車場に到着。
予定よりちょっと早かった。
気温は1度位か?丁度いいだろう。
トイレは冬期閉鎖中で使えず。
先着していた車のカップルは、ピッケル持参の重装備で先に出発していった。
自分も、念のためスパッツを装着して後を追う。
準備中に、もう一台到着。
林道風の道で始まる。
ゲートは閉じていたが、車も入る道か?
すぐに分岐がある。
右の千曲川源流ルートに進む。
左は予定のグルリップをして帰ってくるルートで、十文字峠に続いている。
ここで、先発の二人を追い抜く。
苔むした風景が、奥秩父らしさを感じさせる。
明るい登山道を気持ちよく歩いていく。
千曲川の源流を遡る。
ようやく山道らしくなってくる。
途中で鹿に遭遇。
登山道で、こちらに白いお尻を向けて、振り返っていた。
写真を撮ろうとしたら、逃げられて残念。
凄い勢いで、崖を登っていった。
さすがに野生の運動能力は半端じゃない。
小さな滝が連なり、美しい渓流に彩りを添える。
丸木橋を渡っていく。
この先辺りから、チラホラ残雪が目に付くようになる。
木の梯子を下って。
残雪を横目に進む。
まだ雪が残っていて、嬉しくなってくる。
登山道の雪が増えてきた。
チェーンを装着して出発。
下界でこの様子だと、グルリップ後半の鎖場は無理かも。
まぁ、今日はピストンに変更しようか。
と、今思えば、まだ楽観的なことを考えていた。
一面真っ白だ。
思いがけず、今シーズン最後のスノウハイクを楽しむ。
これはラッキーかも。
トラバースは慎重に進む。
雪の間を滑滝(なめたき)が流れていく。
ここまでほぼ標準タイムで来た。
順調である。
源流部まで2.1km。
だいぶ雪が深くなり、時折、膝近くまで雪を踏み抜くようになってきた。
圧雪のところは慎重に。
ロープにつかまって進む。
源流部まで1.8km。
雪が深く、悪戦苦闘が始まる。
踏み跡に足を乗せるのだが、体が持ち上がったと思った次の瞬間、ズボッと足が沈んでしまう。
新雪ラッセルの方がましで、かなりのスピードダウンだ。
源流部まで1.35kmを過ぎると、更に雪深く。
時折、足の付け根まで、踏み抜いてしまう。
これはかなりやっかいだ。
踏み跡から見る限り、今日以前に人が歩いた時は、ここまで雪が腐っていなかったようだ。
来るタイミングが悪かったかも。
トラバースもつぼ足に。
滑らないから、これは却って楽だ。
木橋を渡る。(写真は橋の上から下流を見たところ)
積雪は数十cmといったところか?
源流部まで0.9km。
この辺り、もうほぼ全ての歩行が踏み抜き状態となり、疲労が蓄積する。
メチャクチャ時間がかかっている。
雪がかぶった橋を渡る。
この辺りズボズボで、もう最悪。
そろそろ、どこまで行けるかって感じになってきた。
小屋が営業していないかも知れないとなると、山頂まで行くのはリスクが大きすぎる。
余裕を見て、11時到達地点をめどに、引き返すことにする。
源流部まで、0.35km。
また橋を渡る。
とうとうここで断念。
場所は、源流部ちょっと手前と思われる。
ここまで所要時間4時間。
帰りの時間がほぼ同じ位かかると考えると、行ってもせいぜいあと30分位か?
決断は早いほうが、被害は少ない。
なんせ、時速550mしか出ていないのだから、30分行っても源流部に届かないのだ。
腹が減ったので、辺りを整地して、休憩する。
こんな事態でも、カップ麺がまいう〜。
引き返し開始。
さっきは渡れた、橋だと思っていたところを歩いたら、踏み抜いてしまった。
下は水である。
ただの雪庇だったか?
雪は益々腐っているようだ。
しばらく行くと、駐車場で見かけた後発の老夫婦が、休憩しているのに出会った。
靴も靴下も脱いでいたから、雪が入ったのだろう。(こちらも事情は同じ)
やはり諦めて撤収するらしい。
「今年は暖冬だから雪が少ないと思った」と同じ感想。
この辺り、全て股まで踏み抜きとなってしまう。
時々、足が抜けなくなり、引き抜くのに苦労する。
雪の下が先に融けて、空洞になっている。
2度ばかり、靴が引っかかって抜けずに、脱げそうになった。
こんなところで、靴を失ったら、帰ることもできない。
必死で足の隙間に腕を突っ込んで、脱げかかった靴を引っ張り上げた。
朝追い抜いたカップルがようやくやってくるのにすれ違った。
「もう山頂まで行ってきたのか?」と聞かれ、正直に断念したことを伝えた。
彼らも日帰り装備らしく、「もうちょっと行ってみる」とのこと。
今のペースでは厳しかろうと思うが、判断は彼らがすることだ。
ようやく滑滝まで戻った。
ここで、泊まり装備の年配夫婦とすれ違う。
やはり聞くことは同じで、断念したことを伝えると、奥さん?に「せっかく来たのに、もったいない」と言われてしまった。
アイゼンが必要か聞かれたので、圧雪のところはもう無いことと、雪が腐ってどうしようもないことを伝えた。
ここで爪の多い本格的なアイゼンを外すようだ。
この人達は、山頂を踏んだのだろうか?(山のベテラン風の方だったが、この時間からでは厳しいと思うのだが)
確認するすべはない。
雪がなくなってきたので、チェーンを取り外す。
例のズボズボで、スパッツの上から大量の雪が入り、靴の中に水がたまっていた。
靴を脱いで逆さまにすると、水が流れ出るほどだ。
靴下も脱いで、絞る。
一応乾かしながら、タバコが美味い。
が、すぐに乾くレベルではないので、早々に出発する。
山道らしいアップダウンを越えると、平坦な道となる。
終点は近い。
一面、針葉樹の落ち葉の絨毯で、フカフカだ。
広葉樹と違い、下に浮き石が隠れていることもなく、歩きやすい。
小滝がしぶきをあげる。
上流に大量の雪があるから、雪融け水なのだろう。
水量は豊富である。
十文字峠分岐まで戻ってきた。
もう駐車場は近い。
駐車場に到着。
車の数からすると、今日入山したのは、10パーティ程か?
雪から足を抜く時に、変なところに力が入ったせいか、結構疲れた。
装備を解き、もちろん靴下も脱いで、一服したら出発する。
途中の道から見る八ヶ岳は逆光になっていた。
温泉は、八ヶ岳東麓、小海線海尻駅近くにある「灯明の湯」に行った。
付近で見た八ヶ岳、遠目にもかなり雪が多い。
逆光なのが本当に惜しい。
早速風呂に入る。
汗を洗い流し、八ヶ岳を眺めながら、湯船に浸かってまったり。
もちろん、露天風呂も堪能した。
温泉の休憩所兼食事処にて、ざる蕎麦と、岩魚塩焼きに舌鼓を打つ。
この後、手作りアイスを食し、寝っ転がっていたら、爆睡。
目が覚めたら、20時近かった。
疲れも回復し、眠さも解消したので、そろそろ帰るとするか。
一服吸って外に出ると、全く明かりがなく真っ暗だ。
周りは畑しかないので、びっくりする位暗い。
その割には、星が見えなかったが・・・。
久々にハイビームを多用しながら走る。
R141も怖い位ガラガラで、時折来る対向車にホッとする。
当然快調に進み、須玉ICから中央高速へ。
中央道も当然順調に流れ、首都高の箱崎手前で渋滞に巻き込まれたものの、ここはいつものことだ。
京葉道を経由し、自宅には23時過ぎに到着。
というわけで、今回の山行も無事終わった。
感謝!!
今回も、天気に恵まれたのは良かったのだが、行く場所を間違えたか。
未踏百名山系は無理としても、他に行きたい山はいくらでもあった。
甲武信岳へ行くには、タイミングを誤ったか?
もしかして、先週の方が雪が腐っていなくて、むしろ良かったかも知れない。
三ッ峠と逆の方が良かったかな。
それとも、もうちょっと後であれば、雪の量が減り、何とかなっただろう。
暑くなる前に、是非リベンジしたい。
雪の踏み抜きに悪戦苦闘しただけあって、筋肉痛は激しかった。
普段使わない筋肉を酷使したようだ。
また、踏み抜く時に、反対側の足がねじれるせいか、左膝痛内側痛がでた。
こちらは軽度ではあったが。。。
【コスト】
用途 |
内容 |
費用 |
高速 |
京葉道(武石−京葉口)往復 |
400 |
首都高(篠崎−高井戸)往復 |
1,120 |
|
中央高速(高井戸−八王子)休日特別料金 |
300 |
|
中央高速(八王子−須玉)往復 休日特別料金 |
2,000 |
|
中央高速(八王子−高井戸)休日特別料金 |
400 |
|
ガソリン |
レギュラー39.32L(@104.0) 489.7km(12.5km/L) |
4,090 |
食料 |
スポーツドリンクペットボトル×1(予め買ってあった) |
89 |
天然水ペットボトル×1(予め買ってあった) |
89 |
|
カップラーメン(予め買ってあった) |
100 |
|
アメリカンドッグ(石川PA) |
230 |
|
温泉 |
八ヶ岳海尻温泉 灯明の湯 |
800 |
ざる蕎麦 |
500 |
|
岩魚塩焼き |
800 |
|
手作りアイス |
300 |
|
合計 |
11,218 |
今回敗退だけに、コストパフォーマンスは最悪である。
骨折り損のくたびれもうけとはこのことか?
さて、例の高速道路特別割引料金の効果は??
有料道路名 |
区間 |
距離 |
通常料金 |
特別料金 |
効果 |
備考 |
首都高速 |
高井戸−一之江(篠崎) |
27.8km |
700×2 |
560×2 |
−140(20%引き)×2 |
平日夜割 |
中央自動車道 |
特定区間(高井戸−八王子) |
25.8km |
600 |
300 |
−300(50%引き) |
休日特別(22−6時) |
中央自動車道 |
特定区間(八王子−高井戸) |
25.8km |
600 |
400 |
−200(33%引き) |
休日特別(6−22時) |
中央自動車道 |
八王子−須玉 |
105.6km |
2,850×2 |
1,000×2 |
−1,850(65%引き)×2 |
休日特別 |
往復合計 |
8,300 |
3,820 |
−4,480 |
4,480円の節約ができた。
さぁ、次はどこに行こうか。
リベンジまでにもう一山行けるかも。
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お終い。