山行記録2009/6 甲武信岳 (こぶしがたけ) 【前編】
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【日程】 2009年6月19日(金)
【天気】 晴
【メンバー】 単独
【概要】 「毛木平−滑滝−千曲川源流−甲武信岳−三宝山−武信白岩山−大山−十文字峠−毛木平」
標高2,475m、歩行距離15.7km、標高差1,020m、累積標高差+1,373m−1,373m
甲武信岳より北奥仙丈ヶ岳・国師ヶ岳・朝日岳・金峰山
【場所】
山梨県(甲州)・埼玉県(武州)・長野県(信州)境にある甲武信岳。
奥秩父山塊に属し、金峰山までの縦走路も用意されている。
そのアプローチは、主に甲州側と信州側に分けられる。
【ルート】
甲州側の西沢渓谷からのルートもメジャーだが、前回同様ガイドブックに載っていた、北側の信州からのグルリップルートを選択。
コースタイム9:25、距離16.2kmとハードなルートで、一泊二日のコースとして紹介されている。
今回は用意周到、テント泊装備で望んだのだが、結果的には日帰りとなった。
よって、甲武信小屋までの往復がなくなり、コースタイム8:40、距離15.7kmとなる。
いずれにしても、日帰りとしてはハードなルートではある。
※この地図は、国土地理院測量結果「数値地図12500(地図画像・・・Web閲覧サービス゛「ウォッちず12500」)」「数値地図50mメッシュ(標高)」をもとに、KASHMIR 3Dを用いて作成したもの。
以下、本文中に掲載のカシバード画像も同様。休憩地点は、滑滝・源流・各ピーク・十文字峠と白四角だ。
【所要時間】
場所 |
毛木平 |
大山祗神社 |
滑滝 |
源流 |
甲武信岳 |
三宝山 |
武信白岩山 |
大山 |
十文字峠 |
休憩 |
毛木平 |
計 |
標高(m) |
1,463 |
1,557 |
1,794 |
2,197 |
2,475 |
2,483 |
2,288 |
2,225 |
1,961 |
1,791 |
1,463 |
1,020 |
区間距離(km) |
1.6 |
2.0 |
2.8 |
1.2 |
1.1 |
1.7 |
1.1 |
1.0 |
1.3 |
1.8 |
15.7 |
|
累計距離(km) |
1.6 |
3.6 |
6.4 |
7.6 |
8.7 |
10.4 |
11.6 |
12.6 |
13.9 |
15.7 |
||
着時刻 |
5:49 |
6:27 |
7:36 |
8:58 |
10:02 |
11:22 |
12:14 |
13:26 |
14:09 |
14:49 |
15:40 |
9:34 |
発時刻 |
6:06 |
6:27 |
7:46 |
9:10 |
10:51 |
11:25 |
12:18 |
13:34 |
14:16 |
14:55 |
15:54 |
|
区間タイム |
0:21 |
1:09 |
1:12 |
0:52 |
0:31 |
0:49 |
1:08 |
0:35 |
0:33 |
0:45 |
7:55 |
|
区間タイム小計 |
0:21 |
1:09 |
1:12 |
0:52 |
0:31 |
0:49 |
1:43 |
1:18 |
7:55 |
|||
所要時間累計 |
0:21 |
1:30 |
2:42 |
3:34 |
4:05 |
4:54 |
6:02 |
6:37 |
7:10 |
7:55 |
7:55 |
|
標準タイム |
0:40 |
1:00 |
1:00 |
0:50 |
0:40 |
1:30 |
1:10 |
1:50 |
8:40 |
|||
標準タイム累計 |
0:40 |
1:40 |
2:40 |
3:30 |
4:10 |
5:40 |
6:50 |
8:40 |
8:40 |
|||
歩行速度(km/h) |
4.5 |
1.8 |
2.4 |
1.3 |
2.2 |
2.1 |
1.0 |
1.7 |
2.4 |
2.4 |
2.0 |
・標準タイムはガイドブックのものを採用。
・荷物の重さが応え、前半のダラダラした登り区間が遅かった。
・武信白岩山〜十文字峠区間は、休憩地点のずれが予想される。(実際は武信白岩山の手前での休憩だった?)
・武信白岩山の岩峰はピークが3つ位あり、地図上では1番手前が武信白岩山になっているが、ガイドブックの所要タイムは
3番目のピークになっているのではないか?
・2区間の合計タイムで見ると、実測2:32、標準2:40で、上回っている。
・後半のアップダウンが激しく、鎖場があってハードなルート部分の標準タイムは、遅めになっていると思われる。
・休憩は時刻を緑字で表記。大休止は太字。
[前回との比較]
毛木平 |
大山祗神社 |
滑滝 |
2.1km |
1.45km |
0.9km |
0.35km |
最終到達地点 |
||
区間距離(km) |
1.6 |
2.0 |
0.1 |
0.7 |
0.6 |
0.6 |
0.2 |
||
6/19 |
区間タイム |
0:21 |
1:09 |
0:02 |
0:21 |
0:16 |
0:18 |
0:02 |
|
歩行速度(km/H) |
4.6 |
1.7 |
3.0 |
1.98 |
2.1 |
1.8 |
6.0 |
||
4/18 |
区間タイム |
0:19 |
1:18 |
0:03 |
0:38 |
0:41 |
0:59 |
0:08 |
|
歩行速度(km/H) |
5.1 |
1.4 |
2.0 |
1.0 |
0.8 |
0.6 |
1.5 |
滑滝辺りまで互角だったが、その後雪が深くなるに連れて、大幅にスピードダウンしたことがわかる。
一方、初めのうちは、今回の荷物の重さが響き、雪があるより遅い位だ。
【はじめに】
6月に入り、梅雨の季節に突入した。
山行日和はなかなか都合に合わず、悩ましい季節ではある。
仕事の方はというと、今月は有給取得強化月間なのだそうだ。
有給未取得者ブラックリストが回ってきて、ワーストに掲載されているのを見て、これはいかん。
率先して取らねば示しが付かんということで、上手い具合に休みが取れる口実ができた。
直前では仕事の都合で行けなくなる可能性があるため、予め6/19に休みを仮設定。
確保しておく。
さて、問題は天気である。
うまく晴れてくれればよいが・・・。
毎日天気予報とにらめっこの日々が続く。
上空に寒気が入り込み、不安定な天気(午後の雷雨)が続いていたが、日頃の行いが良いせいか、どうやら二日続けて晴れそうである。
前日まで不順であったが、まさにピンポイントで、ここしかないというような日程選択であった。
さて、行き先であるが、4/18に敗退した日本百名山No.67甲武信岳リベンジの機会が回ってきたようだ。
今回は、残雪がないことを確認し、なおかつ泊まり装備にして、用意周到で望んだ。
新調の55リットルザックにテント装備一式を詰め込み、食糧・水分を入れると、14kg強となった。
普段より5kg以上重いか?
これは厳しい。
夏に向けての訓練みたいなものである。
今回は出発が金曜日ということで、例の1,000円高速料金が適用されない。
コスト節約のためには、深夜割引を使う必要がある。
よって、八王子ICを4時前に通過する予定を組んだ。
逆算して、2時起床で計画した。
この時間なら、宵っ張りの我が家はほぼ全員起きているだろう。
寝坊の心配はなさそうだ。
何はともあれ、準備をして、11:30頃就寝した。
【これより本題】
予定通り、2:00起床。
身支度を調え、2:20頃には出発できた。
先ずは、ガソリンの給油だ。
満タンにして、出発は2:30。
さらにコンビニで食料調達。
京葉道に入ったのは、2:40頃か?
当然、高速は順調に流れ、八王子通過は3:30前だったと思う。
ここさえ通過してしまえば、もう急ぐ必要はない。
そのまま一気に進み、談合坂SAで休憩。
うどんで空腹を満たす。
前回同様、NAVIを無視して、一つ手前の須玉ICで出る。
少しでもコストを下げなければならない。
R141を清里方面に向かう途中のコンビニで、水分を調達。
ここで調達すれば、登山口まであと僅かである。
冷たい状態が維持できるだろう。
東に見える茅ヶ岳には雲がかかっている。
天気は大丈夫だろうか?
高度を上げていくと、西側に八ヶ岳が見えてきた。
快晴である。
良いぞいいぞ。
野辺山でR141から進路を東にとる。
川上村に向かう途中、振り返ると、素晴らしい八ヶ岳が出迎えてくれた。
さすがに3,000m級の山には、まだ残雪が見えている。
南側には、奥秩父山系に連なる金峰山(きんぷさん)・瑞牆山(みずがきやま)が姿を見せる。
瑞牆山に見える突起は、大ヤスリ岩か?
前回同様、川上村から八ヶ岳を望む。
まだわずかに雪が残っているのがわかる。
これが、4/18の八ヶ岳である。
雪の量が全く違う。
早出した今回は、到着時間が約1時間早い。
前方には、これから向かう甲武信岳近辺の山々大山・三宝山(さんぽうさん)が姿を見せる。
甲武信岳は、三宝山の右にあるはずだが、この位置からは手前の山の陰になっているようだ。
毛木平(もうきだいら)駐車場に到着。
平日にもかかわらず、既に数台の車が駐まっていた。
泊まりにしては、ちょっと到着が早すぎたか?
これが後々効いてくることになる。
外気温は8度で、きりっとした朝の雰囲気で心地よい。
前回閉鎖されていたトイレは、オンシーズンの今は開いていた。
朝日に輝く新緑の中を歩き始める。
爽快な気分だ。
レンゲツツジ?
十文字峠方面を左に分け、右の源流遊歩道に進む。
やがて、水量豊かな渓流に沿って進むようになる。
右側に、大山祗神社(おおやまつみじんじゃ)があった。
順調なペースである。
ここから源流まで4kmとある。
林道歩きが終わり、ここから山道となる。
小滝が続き、素晴らしい景観である。
サラサドウダン?
もうキノコがでている。
渓流に注ぎ込む小さな沢は、苔むしている。
奥秩父の代表的な景観だ。
前回ツボ足で通ったトラバース。
雪がなければなんということはない道だ。
こちらが、前回の様子である。
道が雪で斜めになってしまっている。
滑滝(なめたき)で休憩。
重い荷物を降ろして、ホッとする。
肩と腰の汗のかき方が激しい。
背中はザックのaircontactシステムのおかげか、割とさらさらである。
新ザックの効果と言えよう。
このザックは、ウェストベルトの具合がよく、重い荷物をうまく腰で支えられるようになっている。
ただ、上に長いので、木の枝にザックが引っかかったり、上に重いものを入れると、バランスを崩しやすい面もある。
さぁ、出発。
標識には、甲武信岳まで2時間とある。
先は長い。
源流まで2.1km。
大山祗神社からここまで約1.9km来たことになる。
4/18の様子。
この辺りはまだ大した雪の量ではない。
再びトラバース。
こちらは4/18のもの。
ほぼ同じペースだ。
源流まで1.8km。
まだ同じペースだ。
前回そろそろ残雪の踏み抜きに悪戦苦闘しているはずだから、今回のペースが遅いということになる。
右岸に渡る。
源流まで0.9km。
ここで30分程度の差が出てきた。
前回は2倍かかっている。
源流まで0.35km。
益々雪が深くなり、前回は3倍の時間がかかっている。
4/18の最高到達地点。
なんの変哲もないところだ。
同じ場所とは思えない景色の違いだ。
所要時間の差は、約1時間半まで広がっている。
わずか10分ちょっとで千曲川・信濃川源流部到着。
川に下りて、水を飲んでみる。
なかなか美味だった。
この先は確かに水が流れていない。
突然流れが出現するから不思議だ。
川筋から離れ、尾根に登っていく。
道はつづら折れになってきた。
えぐれた道になってくると、稜線は近い。
稜線に出た。
ここを右に行くと、国師ヶ岳(こくしがたけ)・大弛峠(おおたるみとうげ)を経て、金峰山まで続く縦走路になっている。
甲武信岳は、左折である。
稜線歩きが始まる。
既に標高2,300m以上あるのだが、森林限界より下なのであった。
高度を上げていくと、右側に木賊山(とくさやま)が見えてくる。
甲武信岳のすぐ隣のピークだ。
ようやく姿を現した甲武信岳山頂部。
山頂近くまで木々に覆われている。
なかなか景色が良いではないか。
Uと一緒に行こうといっていた乾徳山(けんとくさん)も見えた。
乾徳山から奥千丈岳に続く稜線。
最後の登りに取りかかる。
周りのシャクナゲは、まだ咲く気配がなかった。
代わりに出迎えてくれたのは、可憐なイワカガミだ。
ちょうど満開を迎えていた。
冒頭に載せた写真をもう一度。
北奥千丈岳・国師ヶ岳・朝日岳・金峰山・小川山と、奥秩父の山々が勢揃い。
写真ではわかりにくいが、肉眼では金峰山の五丈石がはっきりわかった。
乾徳山〜国師ヶ岳の雄大な稜線。
ようやく甲武信岳(こぶしがたけ)山頂2,475mに到着。リベンジなる!!
西北西に続く稜線。
登ってきたルートが一望できる。ということは向こうからも山頂が見えていたはずである。木が邪魔していたのだろうが・・・。
景色に満足したところで、早速昼食にする。
今日は泊まりの予定だったので、昼はおにぎりである。
奈良や三重から来た老夫婦と話が弾む。
そうこうするうちに、南東側から雲がかかってきた。
南には、木賊山が近い。
西沢渓谷から登って来た単独の男性は、大変だったとぼやいていた。
シャクナゲの咲き具合を尋ねると、もうほとんど終わっていたとのこと。
甲武信小屋のところにテント設置後に、空荷で見に行こうと思っていたが、行く気を無くした。
そもそも泊まるのには、ちょっと早すぎるのである。
この時間なら、日帰りも充分可能だ。
天気もイマイチになってきたし、ここで数時間つぶすのも、暇そうだ。
問題は、後半のコースが結構しんどそうなので、重い荷物でへばっている状態では行く気がしない。
ピストンにしようか、初志貫徹して泊まろうかと迷っていると、単独の初老の方が十文字峠方面から登って来た。
話を聞くと、シャクナゲがたくさん咲いているらしい。
写真まで見せてもらい、急にやる気が出た。
これは、行くしかないでしょう。
(後編に続く)
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