山行記録2009/8 表銀座縦走 三日目 【エスケープ】

 

二日目:表銀座縦走 より続く

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【日程】        2009810()

【天気】        雨後曇り

【メンバー】  学生時代の友人U

【概要】        「西岳テント場−水俣乗越−槍沢−ババ平−槍沢ロッジ−横尾−徳沢−明神−小梨平(テント泊)」

                最高到達点標高2,673m、歩行距離18.2km、標高差-1,164m、累積標高差356m1,518m

 

 

梓川岸より穂高岳吊り尾根

説明: 説明: 吊り尾根

 

 

【ルート】

東鎌尾根を槍ヶ岳に行く予定だったが、緊急事態のため、水俣乗越よりエスケープ。

槍沢に下る。

そこから先は、帰りのルートとなるが、小梨平まで一気に下った。

説明: 説明: ヒュッテ西岳−小梨平ルート地図05

※この地図は、国土地理院測量結果「数値地図12500(地図画像・・・Web閲覧サービス゛「ウォッちず12500)」「数値地図50mメッシュ(標高)」をもとに、KASHMIR 3Dを用いて作成したもの。

以下、本文中に掲載のカシバード画像も同様。休憩地点は、各山頂と白四角の地点、帰りの峰ノ茶屋跡避難小屋だ。

 

【所要時間】

場所

ヒュッテ

西岳

水俣

乗越

休憩

槍沢

ババ平

槍沢

ロッジ

一ノ俣

横尾

徳沢

明神

小梨平

標高(m)

2,673

2,471

2,202

2,084

1,994

1,818

1,705

1,620

1,562

1,531

1,509

-1,164

区間距離(km)

1.3

0.5

0.3

1.1

0.9

1.5

2.5

3.6

3.1

3.4

18.2

累計距離(km)

1.3

1.8

2.1

3.2

4.1

5.6

8.1

11.7

14.8

18.2

着時刻

7:51

8:25

8:43

9:14

9:36

10:08

10:54

12:47

13:50

14:59

8:02

発時刻

6:57

7:58

8:30

8:54

9:14

9:39

10:08

11:48

13:06

14:26

区間タイム

0:54

0:27

0:13

0:20

0:22

0:29

0:46

0:59

0:44

0:33

5:47

区間タイム小計

0:54

0:40

0:20

0:22

0:29

0:46

0:59

0:44

0:33

5:47

所要時間累計

0:54

1:21

1:34

1:54

2:16

2:45

3:31

4:30

5:14

5:47

5:47

標準タイム

1:00

0:40

0:20

0:20

0:30

0:50

1:10

1:00

0:35

6:25

標準タイム累計

1:00

1:40

2:00

2:20

2:50

3:40

4:50

5:50

6:25

6:25

歩行速度(km/h)

1.4

1.2

1.3

3.4

2.5

3.1

3.2

3.7

4.2

6.1

3.1

・標準タイムはUが調べたものを採用。

 

・前半は、標準タイムとほぼ同じ。

・水俣乗越までの難所は、雨にもかかわらず早かった。(特に急いだわけではないが)

・槍沢までのエスケープルートの標準タイムは不明のため、実測値をそのまま採用。

・平坦になってからは鬼のように早かったが、いつもの軽い荷物の時ほどではなかった。(距離が長いこともあり、後半かなりバテた)

 

・休憩は時刻を緑字で表記。大休止は太字

 

 

 

【これより本題】

 

夜半過ぎ位から風雨が強まり、テントを雨が叩く。

時折風で壁が内側にたわんで、体に押しつけられる。

いよいよ荒れてきたかと、寝ぼけた頭で「これは敗退しかないかなぁ」と観念する。

 

さて、朝目が覚めてみても状況は変わらない。

相変わらず、雨が降っているので、テントの中で食事の準備をし、中で食べる。

メニューは雑炊である。

まだ危険が差し迫っている感じはないので、平常心で美味しくいただいた。

 

さて、台風はどうなったであろうか?

一応腹の中は敗退と決めているが、最終確認はしたい。

このまま停滞していても仕方ないので、詳しい情報が得られないまま、雨天装備万端整え、意を決して外に出る。

テントの中にいると、ヤバそうな感じだったが、外に出てみると大したことはない。

雨音などテントに当たる際に増幅されて、大げさに聞こえていたようだ。

隣の京大パーティに声を掛けると、彼らは迷っているようだったが、どうやら西岳での停滞を選択するようだ。

 

とりあえずテントを撤収し、小屋に向かう。

小屋番に台風情報を聞くが、天気予報しかわからないようだ。

肝心の情報が得られないのにはガッカリ。

 

小屋前で休憩していた、大天井ヒュッテから来た二人組のおじさんは、北鎌に行く予定だったらしい。

そんな人ほんとにいるんだねぇ。(本当の山やさんらしい)

でも、ここにいるということは、貧乏沢には行かなかったということだ。

どうやらエスケープするみたい。

まぁ、悪天で北鎌に行くのは自殺行為だと思うし、当然の選択だろう。

 

 

説明: 説明: 090810-065632上澤_出発準備完了

 

 

 

 

 

 

 

 

他にもエスケープする人がいて、なんか背中を押されたみたい。

まぁ、たいした実力があるわけじゃなし、さっさと帰ることにしよう。

(なんとかは危うきに近寄らずって言うしね)

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-065728出発

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ出発。

といっても、最初の下りは計画通りのルートだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-070008遙か遠くの槍沢

 

 

 

 

 

 

 

遙か遠くに見える槍沢まで急降下するのが、エスケープルートだ。

あそこまで下りてしまえば、台風が来ても何とかなるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-071214長い梯子を下る

 

 

 

 

 

 

 

ここから水俣乗越までの下りは難所である。

といっても、よく整備されているので、慎重に行けばどうってことない。

長い梯子がいくつもあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-072242雨具装着の天野

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完全装備で暑いの何のって。

レイングローブの中が、なぜかぐしょぐしょに。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-072526尾根を行く

 

 

 

 

 

 

 

難所が終わり、一旦下りきったここが水俣乗越かと思っていたら、分岐がない!!

偽乗越であった。

一旦登ってまた下るようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-072708痩せ尾根を行く_上澤

 

 

 

 

 

 

 

痩せ尾根で風にあおられたらヤバイかも知れないが、幸い風は穏やかだ。

台風の影響は出ていないようだ。

良かった良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-075408水俣乗越にて_天野

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水俣乗越に到着して一安心。

表情もゆるむ。

一旦休憩したら、左折してエスケープルートに入る。

 

乗越と言う位で、右にも道がある。

そちらは、北鎌方面らしい。

こちらからも行けるわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-075442ここから東鎌尾根の登り

 

 

 

 

 

 

 

こちらが行くはずだった東鎌ルートの登り。

いきなり険しそうだが、この先は梯子や鎖の連続となるはず。

風が出てきたらヤバそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-075800エスケープルートに出発_上澤

 

 

 

 

 

 

 

 

エスケープルートに出発。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-081504渡渉

 

 

 

 

 

 

 

 

渡渉地点もあるから、大雨だったらヤバイかも。

エスケープルートが危なかったら意味なし。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-082834休憩_天野

 

 

 

 

 

 

 

葛籠折れの途中で休憩。

雨は大したことない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-084352槍沢に到着_上澤

 

 

 

 

 

 

 

無事槍沢に到着。

ここまで誰にも会わなかったが、ここからは北アルプス一の目抜き通りである。

もう大丈夫だ。

ここでびしょびしょのシャツを脱ぐ。(なんでこんなに濡れたのか?)

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-085046こちらから下りてきた

 

 

 

 

 

 

 

こちらから下りてきた。

上の方はガスガスで何も見えない。

さっきより、上の方の天候は悪化しているかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-085448槍沢を見て出発

 

 

 

 

 

 

 

槍沢の上流もガスがかかっている。

どのみち、槍ヶ岳の天候は期待できない。

下山して正解だったと慰める。

槍から降りてきた人の話では、風も強かったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-085450雪渓

 

 

 

 

 

 

 

分岐近くの河原には、大きな雪渓が残っている。

2,100mとそんなに標高が高くないのに・・・。

冬の間相当溜まっていたのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-091400ババ平テント場を行く上澤

 

 

 

 

 

 

 

ババ平のテント場には、この時間もテントが一杯。

皆停滞して天気待ちしているのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-093612槍沢ロッジに到着_上澤

 

 

 

 

 

 

 

槍沢ロッジに到着。

雨が結構激しい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-095102槍沢の流れ

 

 

 

 

 

 

 

 

槍沢は勢いよく流れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-100044立派な木の橋

 

 

 

 

 

 

 

 

二ノ俣の立派な橋を渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-100828一ノ俣を通過

 

 

 

 

 

 

 

 

一ノ俣を通過。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-101734これが槍見河原

 

 

 

 

 

 

 

 

槍見河原という位だから、晴れていれば槍が見えるのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-105430横尾山荘に到着_上澤

 

 

 

 

 

 

 

 

やっと横尾山荘に到着。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-110042ぐったり座り込む天野

 

 

 

 

 

 

 

ぐったりと座り込む筆者。

もう限界だぁ。

ここまで8.1kmしか歩いていないのに、疲労が蓄積している。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-114852横尾大橋を見て出発

 

 

 

 

 

 

 

来月渡る予定の横尾大橋の下で昼食。

カップ麺で生き返る。

飯を食っている間に雨が上がった。

台風は上陸しなかったのかな?

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-120200ソバナ

 

 

 

 

 

 

 

 

ソバナ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-120800ホタルブクロ

 

 

 

 

 

 

 

 

ホタルブクロ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-123516新村橋

 

 

 

 

 

 

 

 

新村橋を通過。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-124754徳沢園に到着_上澤

 

 

 

 

 

 

 

 

徳沢園に到着。

ソフトクリームで生き返る。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-135054明神館に到着_上澤

 

 

 

 

明神に到着。

ここで財布を落としたのに気付き、大騒ぎ。

徳沢園でソフトクリームを買った時に違いない。

明神館で電話番号を教えてもらい、徳沢園に連絡すると、拾得されていた。

しかしここから1時間かけて戻る体力はもう無い。

家に着払いで送ってもらうことになり、一安心。

 

雨具を(スパッツも)脱いで、濡れたシャツを着て乾かすことに。

涼しくて快適!!

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-142322明神岳

 

 

 

 

 

 

 

 

明神岳が雲の中から姿を現す。

天候は明らかに回復に向かっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-145140手をつないだ木

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここから先は観光客がどっと増えた。

そういえば、明神館は「旅館」と書いてあったっけ。。

 

観光客が群がっていると思ったら、猿がたくさん。

下界に下りてきたのを実感した。

 

林の中にあった屋久島の夫婦杉みたいに手をつないだ木。

これは珍しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-145810川から湯気が

 

 

 

 

 

 

 

 

川から湯気が上がっている。

気温が低いわけではないのに・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-145954小梨平到着

 

 

 

 

 

ようやく小梨平に到着。

いやぁ今日は長かった。

後で調べたら、18kmも歩いているではないか。

後半ほぼ平地だったとはいえ、疲れるわけだ。

 

早速キャンプ申し込みをして、林の中にテント設営。

装備を解いて身軽になる。

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-154314生ビールで乾杯・吊り尾根を眺める

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂にて生ビールで祝杯。

何気なく外を見ると、吊り尾根が見えるではないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、早速梓川岸に行って吊り尾根見物。素晴らしい。今日の天候で見えるとは思わなかった。

説明: 説明: 090810-155434梓川岸より奥穂高岳

来月は奥穂に行くぞ〜。槍のリベンジは来年だなぁ。

説明: 説明: 090810-155434梓川岸より奥穂高岳_カシバード

 

 

説明: 説明: 090810-173618豪華焼き肉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

売店で肉と焼き肉のたれを買ってきて、今日は豪華焼き肉だ。

 

ここは普通のオートキャンプ場と変わらない。

みんなばかでかいテントにターフを連結して、優雅にやっている。

下界に降りてきたことを実感したのであった。

 

もちろん焼き肉がうまかったのは言うまでもない。

(写真は豚バラだが、ちゃんと牛カルビも食った)

 

 

 

 

 

 

 

 

説明: 説明: 090810-173624ちらし寿司と豚汁

 

 

 

 

 

 

 

本日のメニューは、ちらし寿司と豚汁、海藻サラダと焼き肉だ。

超満腹。

下界の飯って感じ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というわけで、(ちょっとしゃくに障るが)台風も来なかったようだし、平和に日が暮れていく。

念のため、明日の車の陸送時間を電話で確認する。

当初は昼の予定だったのを、無理言って9時に変更してもらった。

南安タクシーさん、ありがとう。

電話しなかったら、沢渡(さわんど)で途方に暮れる所だったよ。

Uの機転が利いたのであった。

 

山の上では日没と同時に寝ていたが、下界は21時位までは騒がしい。

21時過ぎに眠りにつく。

 

 

 

最終日:上高地に続く

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