山行記録2012/8 荒川岳・赤石岳(あらかわだけ・あかいしだけ) 【序章】
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【日程】 2012年8月15日(水)−8月18日(土)
【天気】 初日(アプローチ):曇り時々雨、二日目:晴れ、三日目:晴れ後曇り後雷雨、四日目:曇り時々晴れ後時々雨
【メンバー】 Y.U N.I
【概要】 「アプローチ−椹島(テン泊)」
「椹島(前泊:テント)−千枚尾根−千枚小屋(泊)」
「千枚小屋−千枚岳−丸山−悪沢岳−荒川中岳−荒川小屋−大聖寺平−小赤石岳−赤石岳−赤石岳避難小屋(泊)」
「赤石岳避難小屋−赤石岳−富士見平−赤石小屋−椹島」 帰宅
最高到達点標高3,141m、歩行距離27.9km、標高差1,482m、累積標高差+3,186m−3,186m
見晴台より荒川三山
【場所・概要】
南アルプス南部。
北部は山梨や長野からのアプローチだったが、今回は静岡からのアプローチである。
これがとんでもなく長いのだ。
なんだかんだで半日つぶれることになる。
というわけで下界からは見えにくい山だが、一旦上がってしまえば、3,000m峰の威力炸裂。
素晴らしい眺望が期待できるだろう。
地図では、赤石岳の辺りが今回の山域である。
【ルート】
椹島を基地とし、千枚尾根から東尾根に回るグルリップ。
聖岳まで足を伸ばすのも検討したが、日程の余裕がなく見送り。
別途行くことになろう。
※この地図は、国土地理院測量結果「電子国土9000地図画像・・・Web閲覧サービス゛」「数値地図50mメッシュ(標高)」をもとに、KASHMIR 3Dを用いて作成したもの。
以下、本文中に掲載のカシバード画像も同様。休憩地点は、小屋・ピークと白四角の地点だ。
標高差が2,000mを越え、初めて断面図からはみ出した!!!! (比較用に統一の目盛幅に固定しているため)
山の大きさがわかるというものだ。
【はじめに】
いよいよ夏休み山行の計画だ。
4月の人事異動で組織機能ごと移管され、別の事業所になったため、夏休みの時期が8月最終週になってしまった。
これは都合が悪い。
メンバーは世間様と同じ夏休みなのに、一人だけ変な時期に休みでは日程が合わないではないか。
幸い顧客と直にやる仕事ではないのと、理解ある上司のおかげで3日間の休みが取れた。
これで日程は確保できた。
後は天気だ。
今年は梅雨明け後もイマイチの天気が続いており、不安定な天候で、毎日あちこちで雷雨が発生している。
天気予報でもスカッと晴れる感じではない。
夏休み後半、何とか持ち直す雰囲気になってきたので、前半の日程にしなくて正解だったかも知れない。
この天気図は、今回の山行におけるハイライト8/17のものである(午後雷雨!!!)。
またアプローチも問題だ。
とにかく山深いのである。
奥井川方面へのルートはいくつかあるが、事前の調査では、工事中などで3ルートしか利用できないことが判明。
うち、静岡からのルートは2つに絞られる。
千頭(せんず)へ抜ける道(R362)は、以前家族で行って車酔い多発の道だったが、ここは通行可能。
もう一つの口坂本温泉経由ルートは、かなり凄い山の中っぽいので、避けたいところだ。(実は帰りに通ることになる)
県道60号線が一番まともそうな感じなのだが、通行止めでは仕方ない。
普通にNAVIの設定をすると、県道60号線を通るルートが引かれるので、行く先設定を接岨峡温泉にするよう書かれていた。
その通りにすると、R362ルートが引かれた。
SLで有名な大井川鉄道終点である千頭の先の井川ダム・畑薙ダムへの道も相当細い。
しかも最後は、一般車通行止めだ。
畑薙第一ダムから先は、東海フォレストの送迎バス以外の手段はない。
山小屋などに泊まらないと、送迎してもらえない仕組みだ。
Y.Uの蘊蓄によると、ここは「林道」の為、営利的な運行(要はバスやタクシー)は認められないということらしい。
「スーパー林道」なら、営利運行が可能なのだそうだ。
そこで仕方なく、宿の利用者の送迎という名目で許可を得て運行しているのだろう。
普通であれば、コストは宿泊費から捻出しなければならないはずだ。
ということで、テント泊だけでは送迎対象とならず、必ずどこかの小屋に最低一泊泊まる必要がある。
嫌ならバスで1時間もかかる道を歩くしかないのだ。
ところで、宿泊料金で見合っているかは、いささか疑問ではある。
何せ、山小屋料金は普通の価格で、バス代は明らかに上乗せされていない。
他のルートから(送迎バスを使わずに)この山域に入ってくる人もいるので、当たり前のことである。
それでは、どうやって実現しているのかということになるが、ヒントは次の事情にあるのではないか?
この山域の山小屋は静岡県営か静岡市営である。
おそらく民間企業の東海フォレストに運営がアウトソーシングされているのだろう。
委託料金がどのようになっているのか知る由もないが、単純な小屋の売り上げとはリンクしていないと見るのが普通だろう。
であれば、受託企業から見た時、バス運行も含めたトータルコストの回収も成立しそうな気がする。
県や市は、これで儲けようなどという気はサラサラないだろうし・・・。
いっそのこと、スーパー林道にして営利運行すればわかりやすいのにと思う筆者であった。
お役所の管轄やら難しいことがいろいろあるのだろうが、利用者の利便性を考えると、一番良かろうと思う。
さて、出発は8/15(水)の未明である。
送迎バスの最終便は15:30なので急ぐ必要はないが、渋滞次第で到着予定は何時間もぶれる。
余裕が多いのに越したことはない。
6時過ぎに十日市場などで相棒を拾って、東名に乗り入れるが、厚木までは混雑。
といっても、夏休み初日を避けたということもあり、車の量は少ない方だろう。
新東名を快適に走り、清水近辺にさしかかると突然の豪雨。
これから山に行くのに、下界でこれでは先が思いやられる。
幸い静岡SAPAでは雨が止み、休憩に支障はなかった。
ここのSAはETCなら出られるので、高速をおり、R362(藁科街道)に乗り入れる。
新静岡ICではなく、静岡SAから下りるというのがポイントで、R362への接続がスムーズだ。
再び降り出した雨の中、すれ違い困難な山道をひた走る。
千頭に着いてホッとする間もなく、細い山道は続く。
東名の渋滞がなかったこともあり、予定より大幅に早く進んでいるため、千頭辺りかと想定していた昼食タイムの予定が狂ってしまったのである。
まぁ、余裕があるのは良い事だ。
帰りに寄る予定の温泉施設「白樺荘」を覗いてみると、食事が可能で、しかも半端な時間帯にもかかわらず営業していた。
これはラッキー。
早速ヤマメうどんに舌鼓。
結果的にこれが正解で、この先食事可能な場所は椹島までなかった。
畑薙第一ダム夏季臨時駐車場にはたくさんの車が駐まっていた。
夏休み前半で登っている人達も多かろう。
入り口に立っていた仮設テントの人に確認し、車を駐める。
幸いこの瞬間雨が止んでいる。
ラッキーだ。
準備してテントのところに行き、手続きを行う。
手続きとは・・・
・登山届の提出:専用の用紙があったが、事前に作成していったものでも受け付けてくれた。
帰りにここで下山届を出すことになる。
・東海フォレスト施設利用券の購入:3,000円也・・・この金券を利用して小屋に泊まることになる。
この券の提示で、送迎バスへの乗車が可能になる。
帰りは、小屋の領収書の提示で、バスの整理券が発行される。
施設利用券(表)
施設利用券(裏)
小屋の領収書(施設利用¥6,000の記載は、施設利用券を2枚使用したことを意味する)
レシートは「東海フォレスト」名で発行されており、アウトソーシングだとすると明らかにおかしいが、過去の経緯の名残かも知れない。
12:00発のバスを待つうちに雨が降り出した。
テントに入って雨をしのぐ。
バスは空いていたので、ゆったりザックを脇に置いて乗ることが出来た。
混んでいたら膝の上にザックとなるのでありがたい。
一般車が入れる沼平ゲートまでは舗装されていたが、その先は未舗装の林道だ。
ガタガタ1時間も揺られて危うく酔いそうになった。
椹島(さわらじま)に到着したら、テント泊の手続きをしてテントサイトへ。
素晴らしいテントサイトで快適そうだ。
広々していて、下は芝?で平らなので、マットが要らない位。
今回かなりハードなコースなので、山の上は小屋泊にして軽量化、下界の椹島はコスト節約でテント泊にした。
どうせ、山中二泊のうち一泊は小屋を利用しなければならないし・・・。
コスト優先なら、避難小屋泊を一泊に使い、残りはテント泊というのが最安プラン。
体力があればこれがベストプランだ。
テントを張ったら、付近を散策。
これは写真館。
有料だったので入らなかった。
コインロッカー棟。
明日は、ここにテントなどを預けて身軽になって山行に挑むつもりだ。
これがあるのがわかっていたので、下界テント泊が成立したということである。
普通サイズのロッカーに、嵩張るリッジレスト(クルクルマット)が入ったのはラッキーだった。
(大きいサイズは当然高い)
こちらは登山小屋。素泊まり4,000円也(寝具別)。
通路(土間)の両側に畳があるだけの造り。
畳があるだけマシだが、避難小屋と良い勝負。
こんな快適なテン場はなかなかないだろう。(こちらは1,000円也)
天気が良いと暑そうだが、幸い?時々雨という天気なので涼しい。
周りのテントは下山してきた人が多く、話を聞くと、昨日の稜線上は暴風雨だったと言う。
これから登る人は良いねとうらやましがられた。
我々が辿るルートはメジャールートだが、テン泊組は茶臼岳からの縦走等バラエティに富んでいる。
いろいろな人がいるものだが、南ア南部辺りにテン泊で来る人は強者揃いということかも知れない。
天気雨のおかげで虹が出た。
これは吉兆なのでは・・・と都合良く解釈。
明日からの山行に期待を寄せる。
屋根付きの炊事場があるので、雨が降っても大丈夫だ。
早めに陣取って場所を確保。(テーブルは広いのがあるが、椅子が不足しているのだ)
そのせいで風呂に入りそびれた。
メニューは豪華すき焼きである。
生ビールもあるぞ。
まだ全く登っていないのに、前祝い??
ということで夜のとばりが辺りを覆い尽くす。
酔っ払ったところで解散。
(下界なので、ゴミを捨てられるのが助かる)
テント内は暑かったので、シュラフを使わずシュラフカバーで寝た。
標高1,100mなので、イマイチ涼しくないねぇ。
【総コスト】
用途 |
費用 |
アプローチ |
6,665 |
宿泊 |
14,000 |
食事 |
6,713 |
その他 |
3,050 |
計 |
30,428 |
さすがにコストがかさんだ。
小屋に二泊したのが大きい。(8,000+5,000)
(初日に続く)
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