山行記録 光岳・聖岳 (てかりだけ・ひじりだけ) 【序章】
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【日程】 2013年8月14日(水)−17日(土)
【天気】 全体を通して概ね晴れ
【メンバー】 Y.U
【概要】 前日「アプローチ&観光」
初日「便ヶ島−易老渡−易老岳−光小屋」
二日目「光小屋−光岳(ピストン)−イザルガ岳(ピストン)−易老岳−希望峰−仁田岳(ピストン)−茶臼岳−茶臼小屋」
三日目「茶臼小屋−上河内岳(ピストン)−南岳−聖平小屋−聖岳(ピストン)」
四日目「聖平小屋−西沢渡−便ヶ島」帰宅
最高到達点標高3,013m、歩行距離38.6km、標高差2,142m、累積標高差+4,306m−4,306m
歩行時間22:55、所要時間30:11
三日目の朝、ご来光と富士山(茶臼岳直下横窪沢分岐より)
【場所】
光岳・聖岳は、南アルプス最南部にあり、静岡県・長野県境を成す。(正確に言うと、聖岳山頂は静岡県)
山は深く、アプローチも容易ではない。
【ルート】
アプローチをどうとるかによって、ルートが決まる。
静岡側のアプローチは、昨年の悪沢岳・赤石岳同様の椹島または畑薙第一ダムからとなる。
長野側からのアプローチでは、易老渡・便ヶ島が基地となる。
今回は長野側からのアプローチを採用。
便ヶ島を基地に、反時計回りにグルリップとした。
初日:赤
二日目:青緑
三日目:ピンク
四日目:水色
易老岳−光小屋区間は、初日と二日目で重複。
稜線の分岐−茶臼小屋間は、二日目と三日目に重複。
聖平小屋−薊畑区間は、三日目と四日目で重複。
※この地図は、国土地理院測量結果「電子国土9000・・・Web閲覧サービス」「日本高密メッシュ(10mメッシュ標高)」をもとに、KASHMIR 3Dを用いて作成したもの。
以下、本文中に掲載のカシバード画像も同様。休憩地点は、白四角と小屋・山頂だ。
易老渡から易老岳まで一気の登りが厳しい。樹林帯で眺望もなく、ひたすらの登りとなる。
二日目・三日目は稜線散歩となるが、アップダウンがあって楽ではない。
四日目は激下りだが、それほどきつくはなかった。
【はじめに】
南アルプスの百名山未踏峰はあと二つ。
昨年の悪沢岳・赤石岳の時に聖まで行くという案もあったのだが、メンバーの都合でそんなに長いプランは無理ということで、残ってしまったのだ。
自動的に今年の夏のプランが決まる。
問題はアプローチをどうするかだ。
前述の通り、静岡側は椹島から入ることになるが、聖・光を一度に行こうとするのなら、下りは畑薙第一ダムとなる。
前日にダムの所に車を駐めて、送迎バスで椹島に入るのは昨年と同じ。
ルートとしては、初日に聖平、翌日聖ピストン・茶臼まで。
三日目に光ピストンして下山か、翌日下山。
茶臼−光ピストンはかなり遠くて効率が悪い。
悪沢から一気に縦走するには向いているが、残り二つ向きルートではない。
光岳単独に行くつもりでも、静岡側からだと三泊四日(いつものガイドブックにはこれが載っていた)という非効率さ。
一方、長野側からのアプローチは、飯田からR152に出て、遠山川を遡った易老渡・便ヶ島からとなる。
実は、このアプローチ、昨年は崩れていて通行不能だったのだ。
まず、易老渡の手前で崩れていて、林道を10km程の徒歩でのアプローチとなったほか、便ヶ島の先の登山道も横からの沢が土石流となって道を塞いでいて、徒歩でも通れない状態だったらしい。
とんでもない悪路のアプローチと予想され、その後の状況に予断を許さない状況だ。
光岳まで一泊で行って来られるルートは長野側しかない。
また、聖岳とセットしても、うまい具合にグルリップができる。
アプローチはイマイチだが、なんとか長野側から行きたいものだ。
相棒の提案は、山中二泊である。
初日:易老渡−易老岳−光岳−光小屋泊(8:05)
二日目:易老岳−希望峰−茶臼岳−上河内岳−聖小屋(8:55)
三日目:聖岳−下山(8:40)
毎日の歩行時間が長いのが気になるところだ。
特に二日目がネックになりそうだ。
そこで、初日の光岳を二日目の朝にし、(7:35)・・・朝の方が晴れる確率が高い
二日目は茶臼小屋までに短縮。(5:30)・・・この時間なら、余分に仁田岳にも行けるだろう
三日目に稜線散歩+聖岳にして、(8:25)・・・聖岳は空荷だから何とかなるだろう。天候が崩れたら聖を翌朝回しも可
最終日は下るだけに組み替えた。(5:00)・・・帰りの渋滞を避けられるかも
当初案より、一泊増やしたことになる。
これで、日程に余裕ができるし、リスクも減らすことができる。
特に一日おきに、きつい日と楽な日が交互になるようになっているのが良い。
さて、道の状況はどんなものか。(道:林道赤石線)
5/1には「今年は通行可」となっていたので安心していたが・・・。
直前にもう一度調べてみると、なんと「法面に亀裂のため、夜間通行止め!!!」
通行できるのは8:30-17:00である。
これではいつもの夜行車中泊は無理なのであ〜る。
調べて良かった!!!
危うく深夜に山中で足止めを食らうところだった。
8:30にゲートを通ったとして、この時間では出遅れは否めない。
何せ初日は激登りが待っている。
早立ちしたいところだ。
急遽予定を組み直す。
明るい内に通過する必要があるので、アプローチに一日費やし、一日行程が増える感じである。
余裕があるようでいて、盆の渋滞が気になるので、そうそうゆっくりしても居られない。
結局早朝に出発することになるのだ。
もう一つ、懸念事項が・・・。
昨年の槍敗退を始め、どうも足の攣り・痙攣不安がある。
日々の筋トレでも、この不安は拭えていない。
越後駒ヶ岳では、日帰り装備だったのにもかかわらず、腓返りが発生。
体力不安が益々高まる。
マグネシウムサプリやら、発生時の漢方薬(芍薬甘草湯)やら、スプレーやらの対策は当然として、荷物の軽量化も必要だ。
見かねた相棒がテント装備を持ってくれることになり、軽量化も万全。
総重量は、水3.5L込みで15kgに収まった。
この状態で相棒の荷物と重量は変わらない。
相棒は食材も持っているというのに・・・。
今回リスク対策装備を割愛するなど、かなり軽量化に取り組んだというのに・・・。
何かまだ無駄があるようだ。
ところで、肝心の天気の方はどうか。
日々天気予報をチェックしていると、ようやく天候が安定してきている感触を得た。
とにかく今年は不安定だったのだ。
やっと山行日和がやってきたと確信した。
実際の天気図はこんな感じ。tenki.jp
さて、光岳・聖岳について触れておこう。
光と書いて「テカリ」と読むのはなかなか珍しいが、山頂近くにある光石に夕日が当たって、下界から光って見えるというのがその由来のようだ。
下界がどこかはわからないが、山深くて、そう簡単に見える場所ではない。
南アルプス最南部にある光岳が、這い松の南限界らしい。
百名山に選ばれていなければ、きっと訪れる人も少ないマイナーな存在なのだろうが、自分も含め、百名山ハンターには避けて通れない山だ。
今回会った人達でも、95名山以上踏破してきて、最後の方で光岳を目指しているという人が何人もいた。
そういうベテランが多い山域と言えそうだ。
聖岳は最南の3000m峰ということもあり、メジャーである。
由来はともかく、名前がカッコ良い。
ここも山深くて、なかなか下界から見える山ではないが、南アルプスの山らしく、とにかく山が大きい。
山頂直下はザレているようだが、下の方にはお花畑があることでも有名らしい。
【アプローチ】
前述の通り、渋滞が心配だ。
中央道の渋滞予測では、八王子7:00頃から小仏トンネルまでの予想が出ている。
その前に相棒宅に辿り着きたい。
ということで、5時起床、5:30出発とした。
渋滞はまだ始まっておらず、八王子手前の石川PAには、早く着いたので、時間調整。
30分程時間をつぶしてから、相棒宅へ。
その頃には渋滞が始まっていた。
コスト節約のため、今回も相棒の軽で行く。(二人なら軽で充分。車中泊は厳しいが、今回はなし)
高尾山ICから入って、少しでも渋滞をバイパスする。
いきなりの渋滞だったが、小仏トンネルを過ぎる頃には流れていた。
その先はまあまあ快適に流れ、時間が早かったので、松川ICで下りて、前回(塩見岳の帰り)店が開いていなくてあきらめたソースカツ丼の名店に行くことにした。
店名は「EAT」。
開店直後の早い時間にもかかわらず、既に結構客が入っている。
有名店なのだろう。
こちらがソースカツ丼。
蓋が閉まらない位、ガッツリ系である。(しかも安い!!)
甘みのあるソースで、なかなか美味かった。
食後、ガソリンと食料を補給して、R152へ。
林道に入る前に、遠山郷・下栗の里観光。
これから行く山々を眺める。
聖は隠れているが、上河内岳ははっきりわかる。
はんば亭という施設。
土産物屋・食事処がある。
帰りは、ここで蕎麦を食べることにしよう。
日本のチロルと言われる下栗の里ビューポイントまでハイキング。
標高1,000〜1,200m辺りにあるまさに天空の里。
素晴らしい景観だ。(ていうか、こんなとこに良く住んでいるものだ)
ハイキング終了したら、ソフトクリームでマッタリ。
標高が高いとは言え、天気が良すぎて暑い!!
例の夜間通行止め箇所には、監視員がいて、崩落の前兆がないか見張っているようだ。
下山時の注意事項を手渡された。
要は「早く下山してこないと通れなくなるよ」ということだ。
こちらがOfficialな規制図である。(いずれWebからなくなってしまうので勝手にArchive:出展は飯田市HP)
北又渡発電所の先はダートだ。
想像していたよりはかなりマシな道で、舗装区間もあった。
さすがに易老渡−便ヶ島区間は荒れていたり、沢の徒渉もあったが、普通車でも何とかなるレベル。
なんだかんだで、小1時間ほどかかって、便ヶ島に到着。
突き当たり左に小屋があった。
聖光小屋はこぢんまりした小屋だ。
車中泊とテン泊は、突き当たり右側の広々とした草地。
トイレは水洗だし、炊事場もあって、オートキャンプ場という感じだ。
電気もきている。
隣には下界のテントが張られていたが、うちの山用テントの小さいことよ。
隣の若者は豪華バーベキューでうまそうな臭いが辺りに漂う。
(女っ気がないのが、却って侘びしさを醸し出しているが・・・)
暇をもてあましていたが、ようやく日が傾き、買ってきたコンビニ弁当で腹を満たす。
聖光小屋でビールを買ってきて前祝い。
相棒が持参したワインは、登る前に半減!!!
日が暮れたら、サッサと寝る。
夜も暑かったので、別々に寝た。(相棒は車で・・・車用の網戸のようなものを持っている)
(初日:光小屋に続く)
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